私は衣料品の卸売業を営む会社を経営していますが、後継者がいないためM&Aによる売却を考えています。どういった売却先が考えられ、またそれぞれの一般的なメリット・デメリットをお教えください。
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- 2018.10.09
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M&Aの売却先とそれぞれの留意点
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会社を売却する場合、まず考えられる先としては自社の既存の取引先が考えられます。衣料‥‥‥ 表示には会員登録(無料)が必要です。 会社を売却する場合、まず考えられる先としては自社の既存の取引先が考えられます。衣料品の卸売業であれば衣料品のメーカー(川上)や衣料品の小売店(川下)となります。トップ同士の信頼関係がある既存取引先であれば、売却にあたっての安心感がありますし、先方としても得意先(川上のケース)や仕入先(川下のケース)を失うことを避けるため、協力的に対応してもらえるケースも多いと思います。一方で情報漏えいのリスクには留意が必要です。他社との取引条件や財務情報を開示し途中まで話が進んだものの最終的には断られ、結果的には機密情報を取られただけで終わってしまったようなケースも見聞きするところです。 次に同業他社に売却する場合を考えます。同業他社のよい所は事業の良いところも悪いところもよく分かっているため、会社の内容をすぐにわかってもらえる点と財務数値に現れない点を評価してもらいやすい点です。例えば衣料品の卸売業であれば販売先の信用度や物流センターの良し悪しなどがポイントになる所、同業他社であればこうした点に追加の評価がしてもらえる可能性が高くなります。同業であれば商売のやり方の見直しや間接費の削減などによるシナジー効果も出しやすくなるため、多少の値上げも聞いて頂ける可能性も高まります。一方で情報漏えいのリスクが高い点は既存取引先と同様です。悪意のある候補に経営のノウハウを盗まれたり、身売りの噂を流されたりすることもあり、あくまで競争相手であると言うことを忘れずに売却交渉に臨む必要があります。 最後に全く無関連の会社や投資ファンドに売却するケースを考えます。このケースのよい点は上記のような業界に情報が漏れるリスクが低い点と買手のみでは対象会社の経営が行えないため、一定期間は顧問などとして経営関与できる点、また、その際の発言力が確保できる点です。一方で非同業ですので買手が対象会社の価値を上げることは難しく、現在の利益や資産額でシビアに評価されるというデメリットがあります。 以上、いずれの候補先にもメリットとデメリットがありますので慎重に検討していく必要があります。 |
解説者
- 宮口 徹 /公認会計士、税理士
- 宮口公認会計士・税理士事務所 代表
- M&Aアドバイザリー、スキーム策定、バリュエーション、ベンチャーM&A、事業再生、事業承継型M&A、事業承継対策、税務全般、組織再編成、財務税務DD
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