私は居酒屋を10店舗経営していますが、最近、同規模の同業他社の社長から自社をM&Aで取得しないかとの提案を受け検討しています。買収資金の融資は取引銀行から受ける予定ですが、担当者から同行のM&Aセクションを財務アドバイザーとして選任すべきと勧められました。M&Aは初めてですが居酒屋の経営については知見がありますし、別途費用を負担してアドバイザーを選任する必要もないと考えていますがアドバイザーの役割につき教えてください。
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- 2018.10.09
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財務アドバイザー選任の必要性
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一般論として買手の財務アドバイザーの役割としては、買収候補先の紹介、株価算定、弁護士‥‥‥ 表示には会員登録(無料)が必要です。 一般論として買手の財務アドバイザーの役割としては、買収候補先の紹介、株価算定、弁護士や会計士によるDD(デュー・デリジェンス)の取り纏め、売手との基本合意書や株式売買契約書など各種文書作成支援、売手との交渉支援などが挙げられます。 本件では買収候補先自体は既に紹介されており、同業他社ということで事業も熟知されていることからアドバイザーの必要性を感じられないかもしれません。ただし、M&Aは会社という存在を事業、人材、財務など一体として取得する複雑な手続きであることから店舗を居抜きで取得するのとは次元の違う手続きが求められます。こうした手続きには法務や労務、また財務や税務の専門知識が必要となるため弁護士や会計士・税理士、社労士などの専門家の知見が必要となりますが、こうした専門家を取りまとめる人材が社内にいない場合、アドバイザーの活用は必須とも言ってもよいと思います。 また、売却価格の交渉もアドバイザーが行った中立的な価格算定をたたき台とした方が、話がまとまりやすいという利点もあります。価格のみならず、M&Aには交渉すべき事項が多数ありますが(社長の退任時期や退職金の有無、会社が保有する私的資産の取扱い、従業員の雇用条件、各種表明保証の期間など)、売手と買手がいきなり直接交渉してしまい議論がスタックしてしまうよりも、まずはアドバイザーが間に入って交渉し、当事者は最終の落とし所で登場する方が経験上、上手くまとまるケースが多いです。 なお、アドバイザーの報酬は以下のレーマン方式と呼ばれる算定式で計算されることが一般的ですが、最近ではアドバイザー間の競争も活発化しており、柔軟な対応も見られるようです。
<レーマン方式の例> 取引金額5億円までの部分:5% 取引金額5億円超10億円以下の部分:4% 取引金額10億円超50億円以下の部分:3% 取引金額50億円超100億円以下の部分:2% 取引金額100億円超の部分:1%
本件においては、業務範囲が絞られますので報酬額についてディスカウントを依頼してもよいかもしれませんが、財務アドバイザーの選任自体は行われることをお勧めします。 |
解説者
- 宮口 徹 /公認会計士、税理士
- 宮口公認会計士・税理士事務所 代表
- M&Aアドバイザリー、スキーム策定、バリュエーション、ベンチャーM&A、事業再生、事業承継型M&A、事業承継対策、税務全般、組織再編成、財務税務DD
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